子育てには”絶対はない”が ”原則はある”
世界基準の人材育成に向け、日本の教育も進化しているが、グローバル化・情報化の時代に向け、どのような「子育て」がよいのでしょうか。
教育や子育てに絶対の正解はありません。 それぞれの家庭環境や価値観で正解は変わったりします。
しかし、科学的な検証で明らかになった、子ども才能が伸びる子育ての原則はあります。
子育ての原則を理解することで、子どもは安定した成長や継続的な成功につなげることができる人材になることができます。
子どもの才能が伸びる『子育ての原則』
子どもの才能が伸びる『子育ての原則』
- 心の土台となるのが「非認知能力」
- 子への「愛着」で自己肯定感を育む
- 「自律性」を尊重し、モチベーションを育む
心の土台となるのが「非認知能力」
非認知能力とは、心の「土台」となる総合的な”人間力”のことです。
- 創造力、自信、忍耐力、やり抜く力、精神的安定性
- 発想力、決断力、自制心、対処能力、コミュニケーション力 etc..
心の「土台」がしっかりしていないと、困難に立ち向かうことができず、伸び悩んでしまいます。
一方、心の「土台」がしっかりしていると、失敗を恐れず挑戦することができるので、継続的な成長が期待できます。
幼少期から学力や知識をつけることも大事ですが、それだけに躍起にならずに、まずは「非認知能力」を育てることが、その後の安定した成長や継続的な成功につながっていきます。
非認知能力学習の効果は大きい
3〜4歳児を対象に、非認知能力を育てる教育をした子どもとしなかった子どもの比較調査を行った結果、その後の能力に大きな差が生じることがわかりました。
具体的には、”非認知能力を育てる教育をした子ども”は、”しなかった子ども”よりも、就学時の学習能力や大人になった後の経済力の面で優秀であるということが研究結果からわかりました。
幼い時に教育投資するほどリターンが大きい
また、同様の調査ではどのタイミングで教育投資をすれば、どれくらいの費用対効果が得られるかも調査を実施しました。
結果、同じだけの投資をするなら、幼い時ほどリターンが高いことがわかりました。
その理由は、幼少期に培ったスキルが新たなスキルををもたらし、能力が将来の能力を育てるため、幼少期から育んだ基礎的な土台が強いほど、後になってから得られるものが大きいからです。
非認知能力を高める2つのカギ
では、非認知能力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?
非認知能力を高めるカギは下記の2つです。
- 自己肯定感
- モチベーション
それぞれについて詳しくみていきましょう。
①子への「愛着」で自己肯定感を育む
自己肯定感とは、自らの価値や存在意義を肯定できる感情のことで、
自己肯定感を育むポイントは、「愛着」を形成することです。
愛着とは、特定の人間から継続的に愛され、大切にされることで深まる情緒的な絆のこと。
子どもに注意を向け、温かい反応を繰り返すことで「愛着」が形成されていきます。
例えば、
- 積極的にアイコンタクトやスキンシップをする
- 子どもが何かを感じていたり、見ていたら、子どもの関心を共有する
- 子どもが不安や不満を感じていたら、共感したり、落ち着きを取り戻すのを手伝ってあげたりする
「愛着」という子どもにとっての“受け皿”を作って暖かく見守ってあげることです。
人間は基本的に環境の産物です。生まれ育った環境に大きく影響を受け、両親からの愛着という「心のベース」があることはその後の成長においては大変重要となります。幼少期から愛着が形成されている子どもはその後の生活が良好になる傾向にあります。
日本の子どもは自己肯定感は低い
内閣府が実施した自己肯定感に関する意識調査では、日本人の子どもの自己肯定感は低い傾向にあることがわかりました。
それは、親が子どもを周りと比較したり、「できない」ことに目を向けてしまうことが原因です。
自己肯定感を育むポイントは、認めてあげる、褒めてあげること。
さらに「能力」を認めるのではなく、「努力」を認めて、褒めることです。
長所にフォーカスし、友だちや兄弟と比べないことが大事です。
②「自律性」を尊重し、モチベーションを育む
モチベーションとは、目的や目標に向かって行動を起こし、達成するまでその行動を持続させる心理的な過程のことで、
モチベーションを育むポイントは、「自律性」を尊重することです。
「自律性」を尊重するためには、以下の2つがポイントとなります。
- 「愛着形成」が大前提
- 子どもをコントロールしようとしない
「愛着形成」されていると、子どもはそこを「安全基地」と認識し、自ら挑戦するようになります。
また、挑戦した際に不安になっても「安全基地」に戻ってくることを繰り返しながら、少しずつ活動の場を広げていこうとします。
自律性の過程によってモチベーションの種類は変わる
次に、自律性を尊重するためには、子どもをコントロールしようとしないことが大切です。
支援型の子育てタイプで育った子どもは厳格型で育った子どもより、自律的な子どもになりやすく、成人後の経済力や前向き思考(不安の感じやすさ)などの面で優れていることがわかっています。
よって、子育てのタイプによっては、子どもの幸福度にも影響してきますので、大人はあれこれ言わず、温かく見守るのが大事です。
子どもへの指示の出し方とご褒美の使い分け
子育てにおいて、時には子どもがやりたくないことをやらせないといけない場合もあります。
その際、気をつけなければならないポイントは2つです。
- やる気の損なわない指示の出し方をすること
- ご褒美をうまく使い分けること
「今すぐ、辞めなさい」という風に、親が行動を引き起こしてしまうと、子どもはコントロールされた気分になってしまいます。その場合、子どもは抵抗を感じて真逆のことをしようとしてしまう場合も。
そこで、やる気の損なわない指示の出し方として、選択を与えて決めさせるというやり方が有効となります。
子ども自らが、選択肢の中から好きなものを「選ぶ」という行動を引き起こすことで、子ども自身のコントロール欲求が満たされ、やる気が高まります。
また、ご褒美を上げる場合も気をつけなければなりません。
カーネギーメロン大学の実験結果より、報酬を提示された人は熱心になり、取り組む時間も増える傾向になりましたが、報酬がなくなった途端、興味をなくし、取り組む時間も大幅に減るという結果となりました。
報酬は“短期的には”効果が表れますが、“長期的には”本来の関心も奪ってしまう恐れがあるため、使い分けが必要となります。